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これは半分ずつの見本なので本来は別々の入れ歯なのです。 両方ともに特殊な製作方法で、とても精密に作っていきます。 入れ歯のまん中のつなぎ目を見て下さい。金属をつかった場合と使わない場合の、入れ歯の厚みの違いがわかるでしょうか?
実際には厚いところで一ミリから二ミリほど差が出ています。特殊な技術で作っていきますので、多少時間がかかります。作りながら、発音をチェックしますので、話しやすい形に仕上げます。
非常に簡素な作り方なので短期間でお渡しできます。正確な作り方ではないのですが、歯茎の丈夫な方には割とあいます。細かい点はお渡しした後に何度も調整を必要とします。精密な作り方ではないので、裏打ちが必要であったり、厚ぼったい感じがあったり違和感が強い場合もあります。歯を抜いた後の仮義歯としても用いる事があります。
この二種類の入れ歯はどちらも現在作っておりますが、特殊な作り方なので、一ヶ月に五名分程しかつくれないのです。新しい技術と斬新な方法なので、あまりこのような入れ歯を見たことは無いのではないかと思います。 この入れ歯は、わたしが勤務していた昭和大学歯科病院(東京都・大田区)の山縣教授が開発した方法なのです。この教授のもとで勉強された先生方は主に関東地方で活躍されています。
高性能義歯に使用する磁石は、マッチの先の赤いところよりも小さなものを使用します。長いところで3ミリ程、厚さ1ミリ程です。マッチの先よりも小さく、重さも感じません。
さてこの磁石の力は、メーカーによると一つで六百グラムとのことですが、私が実際に口腔内で使った感じとしては三百グラムほどではないかなと思います。まあ実験室で行う測定と実際の口腔内では条件が違いますし、患者さんの歯茎の状態も様々ですから、正確な数値を出すのは難しいかもしれません。
入れ歯の作り方は前回に説明させていただきました透明床義歯と同じです。ただ今回は磁石で支えるので、先に入れ歯を作る前に土台となる歯の根に金属を付けます。また歯の根が健康であれば一度の型取りで金属を付けることができます。左上の写真では歯茎の部分に、一つだけ金属が付いていますね。これは歯の根元に、磁石につきやすい特殊な金属を付けた状態です。では肝心の磁石はどこに付いているのでしょうか?そうなのです、入れ歯の裏側に磁石が付くのです。そしてこの磁石と歯の根の金属がくっつくのです。
今回使った模型は一本の根だけを活用したケースですが、当然の事ですが、根の本数が多ければより快適な状態になります。従って、歯周病で歯の本数が減り、残りの歯にバネをかけて入れ歯を支えると、歯茎が弱い場合にはバネをかけている歯がもたなくなります。毎日の入れ歯の出し入れと、バネの締め付けで歯がゆるんで来るのです。しかし、磁石で支えるとバネの締め付けがなく、また強過ぎる力もかからないため歯自体が長持ちし、長い目で見ると歯茎の減りが遅く、入れ歯を安定させやすくなるのです。また、笑ったときにバネが見えないという利点もあります。ただし、頭部のMRI検査を毎年のようにお受けの方は、頭部のMRI検査の画像に影響が及ぶため、歯科用超小型磁石の装着は下顎前歯部限定した方が良いと思います。
歯茎の模型(白い部分)に
入れ歯をつけた状態です
歯茎の模型から入れ歯を
持ち上げた状態です
磁石は入れ歯の裏側に付けます
左下臼歯部の欠損
装着時
マグネット・コーヌス義歯
左下臼歯部の欠損
装着時
小型マグネット・コーヌス義歯
粘膜・筋圧形成した複重合精密義歯
(透明金属床義歯)
装着時
マグネット・コーヌス義歯